原田のゴミタメ。

私が語ることは、すべて接頭に「私にとって」が与えられねばならない。我儘で、自分勝手で、醜く幼い私の誇大妄想。私的な論理の飛躍は決して万人に敷衍されてはならないが、万人が私の妄想を否定したとき、もはや私には生きる必要がないと思われる。せつに、そう思うのである。

ポエム

ノートやSNSに自作の陶酔に満ちた気恥ずかしいポエムを書くことは、なんだかいかにも「青春」という感じでいいなあと思うのです。

私は愚かにも(俗に「青春」と形容される期間に)そういった「青春」を送ることができなかったので、そろそろ純ポエジーな文をのっけて「青春」を謳歌できればよいなと思うわけです。

つまり、以下のポエムを一種軽蔑をもって読んでいただき、「うわー青いナー」とか、「これ、書いてて恥ずかしくないのかね」とか、「厨二くせえ」と読者に思ってもらうこと、それをもって、私の「青春」体験が始まるわけであります。

 

 

海だ。
泥の海。
涙の海。
血の海。
穢れた血。
醜い血。
非意図的な穢れ。
非意図的な醜さ。
此の世にあって、醜さは罪だ。
非意図的な罪。
合理的な罰。
醜さに対する制裁は合理的。
そこには美しき世の理がある。
美しき勝者にとっては何ら自然なこと。
醜き敗者、愚者、不満者、不幸者、劣等種、膿。
彼らにとっては?
手を伸ばしても斬りつけられ、祈るさまは吐き気を催し、周囲を妬み、充実を妬み。
かつて祈った、いまだ縋る幸せを妬み、他者を妬み、それゆえに団結せず。互いに罵りあい。
醜人同士で憎みあい、腐った汚泥を高邁な精神と過信し、万物を軽蔑し、独り泣く。
全ては自己責任。何もしない、何もできない、彼らの罪だ。
彼らは叫べない。叫んでも、正当ではない。
醜いから。自業自得だから。
手を取りあえるだけ幸福な、充実者たちは
美しき者たちは、充実者たちは。
美しき国を建造した。
彼らの神は、美しかった。
集団を妬む醜人を、神は追放した。
救いようのない劣等を。
この穢れたあなぐらに。
塵の如く。塵そのものを。
自我すら失った汚泥の霊魂は。
醜き敗者は。
積り貯まり。
いつしか海となった。
膿の海。
最奥。

 


悪魔が来た。
神を創ったのが美しき者ならば、悪魔もまた、美しき者たちの創造物だ。
しかし悪魔は、元は人間であった。
中途半端な人間。
美しき者ほど高邁に―真に高邁に―なれず、かといって醜き敗者に混ざることもできない。
彼もまた、醜き敗者なのかもしれない。少なくとも、最も孤独な人間であった。
美しき者たちは、万能ではない。
故に彼らの創った神は、決してゼウス・エクス・マキィナ―都合のよい神―ではあり得ない。
不具は生じる。過ちも犯す。失敗もするし、悪感情も、美しき者たちにだって存する。
しかし生まれざるを得ない不具を、美しき団結で乗り越える。彼らは、眼を覆うことのできる「勝者」なのだから。眼を覆って許される「美しき者」なのだから。
健全な、称えるべき「努力」でもって。
しかし、不具として美しき者たちの中に生じたこの孤独な醜人を掬う者はいなかった。
醜いから。
内心で嫌悪しつつ、健全な道徳により、あえて追放もしなかった。
故に彼は、最も孤独なのだ。
果たして、美しき者たちの中にあり、その道徳の中にあり、それゆえに醜人の如くなり切れない、この半端者は、その醜い気質を―醜人特有の気質を―己の中に爆発させた。
それは美しき者たち間では、「歪み」と呼ばれる。
目下「健全な団結」によって解消せねばならない病理であった。
しかし彼は孤独であった。美しき者たちの中にあって、しかし最も醜い者だった。
中途半端は醜さの根源である。
彼が実力で―歪んだ原動力で―彼に言わせれば「それなり」の叡智を得た時、彼の内面は既に腐りきっていた。
さながら、「膿の海」の如くに。
彼は、己の醜き外面を剥ぎ棄てた。
人ならざる―それは美しき者たちの健全な努力の末に得られた技術だった―依り代に、腐った精神のみを―美しき者たちが健全と信じてやまない精神のみを―宿し、結果、自身が人ならざるものに成り果てた。
いやしかし、彼に言わせれば、「やっと成り果てられた」。
彼は、旧人間の彼は、苦悩に満ちた齢の末に、ようやく「美しき者ども」から追放された。
美しき神から追放された。
叡智―人ならざるゆえに、それは人智を超えた―を携え独り荒野に立った悪魔は。
原初の悪魔は。
孤独な放浪の果てに、最奥の海にたどり着いた。
物理的にも精神的にも、「美しき者ども」から最も隔絶された、「膿の海」。
その淵に立ち、うわごとのように手を伸ばす茫漠たる時化と、病み腐りきった凪を見下ろす彼の眼は―すでに生身の眼ではなかったが―ともすれば憐憫や同情を帯びたものであったことだろう。少なくとも、「美しき者ども」は、そうみなしたであろう。
しかし彼は内心で狂乱狂喜していた。
彼の―彼自身による人造の、いや、悪魔が創り給うた―文字通りの電脳は、悪魔史以来の火花を迸らせた。
悪魔的な―すなわち道化じみた、欠陥と白痴的なぎこちなさを本質とする―腐りきった悦びに満ちた嗤い声を、高々と、音声機能がねじ切れるまで、叫び続けた。
眼を覆いたくなるほどに醜い腐海―一種の深淵―のほとりで、狂ったように踊り嗤う独りの悪魔の画は、なるほど此の世の崩壊の序章としてはこれ以上なく「美しい」ものであった。

 

古き時代ののち、長き圧政に対し大衆は反逆した。
次は理性が―抑圧されし、醜き敗者が―大衆を貪る番だ。
これは勝利ではない。貯めた水があふれるがごとき、自然の摂理なのだ。
―妄言集より

 

もっとも根源的なレヴェルにおいて、悪は抽象的なものではないのだ。
現実的かつ具体的なものにほかならない。
―Jeffrey Burton Russell

 

かつてニーチェが徹底して軽蔑し、「復讐の価値なし」と言い切った大衆に対して、
君はその命を賭してまで復讐するつもりなのかい?
―阿呆。

 

ここまで

 

 

ひゃー恥ずかしい。

青臭いポエムですね。

これが青春ですか。

良いですね。