学問の檻のうちにある思想は、如何様にも解剖できる。徹底的に暴かれ死体と化した上で、一般に膾炙する。
しかし檻を抜け出て運動と化した思想は、もはや手に負えない猛獣であり、人々はまず恐怖でもってそれらを駆逐せんとする。
無学ゆえ断言はできないが、長く続くような体制や思想は前者を経たもの、あるいは前者に甘んじるものであり、かつての共産運動、ファシズム、またラディカル・フェミニズムなどの急進的思想は後者であるのではないか。
客観的な批判を排し、仲間内での聖典礼賛に終始し、破壊的な弾圧運動を展開する。
それらは恐怖すべき獣であり、受容を吟味する前にまず射止めて息の根を止めねばならない。
人は死体の解剖にしか安心出来ず、冷静になれない。